民法(債権法)の改正案は平成29年5月26日に成立し、同年6月2日に公布されました。改正民法の施行は令和2年4月1日です。
親族・相続法については、日本国憲法の制定により昭和22年に全く新しい内容に改正されましたが、債権法については明治時代の民法制定以来大きな改正はこれまで行われていませんでした。
その間、判例の蓄積により債権法が補充されていましたが、今回の民法改正の背景には、契約を重視する英米法が国際的な取引の主流になっていることがあります。
これまで主観的な故意過失の有無が責任を問う重要な根拠とされていましたが、今回の改正民法の全体の特色としては、例えば下記のように客観的に契約内容に適合したことを行ったかどうかを責任根拠として重視されることになりました。
ア 契約締結には「契約内容を示して」締結を申し入れることが必要です(522条)。
イ 債務不履行は「契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして」判断されます(415条)。
ウ 契約成立のとき既に履行不能であったとしても、契約した以上契約は有効で、債務不履行責任も問えます(412条の2)。
エ 目的物が「種類、品質又は数量に関して契約内容に適合しないものであるときは」、買主は履行の追完等を請求できます(562条、563条、564条、415条、541条、542条)。
オ 催告期間を経過したときにおける債務不履行が「その契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは」解除できません(541条)。