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相続Q&A

預貯金の払い戻し請求はどうするか

2017.12.27

1.判例と金融実務

預貯金などの金銭債権について、最高裁は、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割され、各相続人に移転するとしていました。この判例の考えでは、法定相続人は金融機関に自己の相続分について預貯金の払い戻しを請求できることになります。

しかし、実際の金融機関の実務は、このようにはなっておらず、事後的に何らかのトラブルが発生し金融機関が免責されないことを防止するため、遺産分割が完了したことの証明を要求するなど厳格な手続を要求しています。

最高裁は、平成28年12月19日、過去の判例を変更し、預貯金も遺産分割の対象とする初の判断をしました。この判断は実際の金融実務に従ったことになります。

しかし、預貯金の払い戻しや名義書換の具体的手続は各金融機関によっても異なり、また支店や担当者、そして払戻請求者と金融機関との関係などによっても異なりますので、その手続については事前に金融機関の担当者に問い合わせをする必要があります。
以下は、金融機関から求められるある程度標準的な説明をします。

2.遺産分割前の払戻請求

相続人が金融機関に対し預金の払戻請求をする場合、金融機関は共同相続人全員による払戻請求の方法をとることを求めます。その際必要な書類は以下のものです。
①相続人全員名義の払戻依頼書
②被相続人の除籍謄本及び相続人全員の戸籍謄本
③相続人全員の印鑑証明書
④預金通帳、被相続人の届出印
従って、相続人の一人が他の相続人に無断で預金全額の払戻請求ができないことはもちろんですが、その法定相続分の範囲内であっても、他の共同相続人の協力を得て相続人全員で払戻請求をする必要があります。

3.遺産分割後の払戻請求

遺産分割が行われた場合は、相続人は適法な遺産分割が行われたことを金融機関に明らかにして、払戻請求をすることになります。その際必要な書類は以下のものです。
①遺産分割協議書
②相続人全員名義の払戻依頼書
③被相続人の除籍謄本及び相続人全員の戸籍謄本
④相続人全員の印鑑証明書
⑤預金通帳、被相続人の届出印

4.遺言がある場合(遺言執行者のいないとき)

被相続人は遺言によって、その預貯金を特定の相続人又は第三者に遺贈することができます。
この場合、受遺者は相続開始のとき(被相続人の死亡のとき)からその預貯金を取得することになり、受遺者は金融機関に対しその払戻しを請求できます。その際は次の書類を金融機関に提出することになります。
①遺言書又はその写し(公正証書遺言の場合以外は裁判所の検認調書を求められることがあります)
②遺言者の除籍謄本
③預金通帳又は証書
④受遺者の印鑑証明書
金融機関によっては、このほかに、受遺者に対する払戻しについての相続人全員の同意書並びにその印鑑証明書を求められることがあります。

5.遺言がある場合(遺言執行者がいるとき)

遺言執行者がいる場合は、各相続人は遺産の処分ができません。したがって、預金の払戻しなどは遺言執行者が行うことになります。
遺言執行者が金融機関に対し預金の払戻請求を行う場合は次の書類を提出することになります。
①遺言書又はその写し
②遺言執行者が家庭裁判所で選任された場合はその審判書謄本
③被相続人の除籍謄本
④遺言執行者の印鑑証明書
⑤遺言執行者名義の払戻依頼書
なお、このほかに、相続人全員の払戻同意書や払戻依頼書を要求されることがありますが、本来、金融機関は相続人の同意の有無にかかわらず遺言執行者からの払戻請求には応ずるべきと考えられ、この取扱いは批判されています。

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