髙橋修法律事務所

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離婚Q&A

内縁の法律関係

2018.01.11

1 内縁

内縁というのは、婚姻の意思があって共同生活を営み、社会的には夫婦と認められているのにかかわらず、何らかの事情で婚姻届を出していないため、法律的には正式の夫婦と認められない男女の関係をいいます。

従って、将来夫婦になる合意があるだけで、夫婦共同生活の実体がない「婚約」とは違います。また、婚姻意思がなく、妻ある男性が経済的援助をしながら性的関係を継続する「愛人関係」とも異なります。

内縁関係は、当事者の一方または双方に法律上の配偶者がいても成立し、これを重婚的内縁といいます。

 内縁の成立
内縁が成立するには、社会的・実質的に夫婦になろうという合意と社会観念上夫婦共同生活と認められるような実体が必要です。男女が同棲しているからといって、内縁関係と判断されるわけではありません。ただの同居人と解釈されることもあります。ただ、内縁が成立するには結婚式のような特別な儀式がなくてもよいとするのが判例です。

3 内縁の効果
内縁の配偶者には、相続権がありません。
また、内縁関係にある男女から生まれた子供は、非嫡出子と扱われます。内縁関係にある男女から生まれた子(非嫡出子といいます)は、父から認知をしてもらえれば、父の財産を相続できます。
その父に嫡出子がいても、その認知された子(非嫡出子)は、嫡出子と同等の相続分があるように民法が改正されました。
内縁は婚姻に準ずる関係として下記の効果が生じます。
1. 同居協力扶助義務
2. 貞操義務
3. 婚姻費用分担義務
4. 日常家事債務の連帯責任
5. 健康保険法等では、内縁関係にある者を配偶者に含まれるものとして扱っています。

 内縁の解消
内縁の解消は当事者双方の合意によってできます。また内縁は離婚とは違って形式的要件(届出)が不要ですから、正当事由がなくても、一方的な意思表示もしくは夫婦共同生活という実体を解消することにより内縁関係を解消できます。しかし正当事由なく、一方的に内縁を解消すると、不当に破棄した者は相手方に対し慰謝料等の損害賠償責任を負うことになります。

 重婚的内縁

重婚的内縁の場合、法律婚が全く実体を失っている場合、通常の内縁に準じる効果が付与されると考えられています。
法律婚が実体を失った(形骸化)かどうかは、①別居期間、②当事者の離婚意思、③重婚的内縁関係の継続性、④法律婚当事者間の経済的給付や交流・音信の有無などの事実関係が考慮されます。判例では、内縁関係が30年に及ぶこと、法律上の妻との関係は内縁関係に入るまでには形骸化していた(内縁関係が20年余り経過した時点で協議離婚届が提出されている)ことなどから、内縁関係の不当破棄による妻からの慰謝料請求について1000万円という高額な金額を認めたもの(東京地裁平成3年7月18日)があります。

6 内縁の不当破棄
内縁関係を不当に破棄した場合、破棄した者は離婚と同じような責任が発生します。

内縁の不当破棄の責任については、判例はかって婚姻予約不履行責任としていましたが、最近は不法行為責任として慰謝料の支払義務を認めるようになりました。内縁関係の不当破棄にもとづく損害賠償請求は家庭裁判所に調停を申立てることも出来ますが、実際には損害賠償請求事件として訴訟を提起することが多いです。

内縁の不当破棄による慰謝料の金額は、正式な夫婦の場合よりもやや少ない傾向がありますが、慰謝料の算定要素は基本的には離婚と同じで、内縁の期間、内縁破棄に至る事情、子供の有無などです。
判例を見ますと、妻子ある男性が未婚の19歳の女性に、妻と別れて再婚すると言って、その話を信じて肉体関係を持った女性が妊娠・出産し、内縁生活を始めたが、内縁開始から2ヶ月で男性が一方的に別れたケースで、男性に330万円(うち弁護士費用30万円)の慰謝料を認めたものがあります。

 内縁解消と財産分与・相続
内縁を解消した場合、内縁は婚姻に準ずる関係として、二人の共有財産がある場合は財産分与の対象となります。

しかし、死別による内縁解消の場合には、判例は内縁配偶者に相続権を認めていません。

高橋修法律事務所では、内縁関係についても扱っていますので、お気軽にご相談ください。