髙橋修法律事務所

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契約・不動産Q&A

日照の妨害

2023.09.14

Q  隣りの家の改築工事で家の日当たりが大変悪くなりそうです。日照権侵害で訴えることができますか。

 日照権はもっぱら日照妨害をめぐる裁判を通し人格権の一つとして確立された権利です。

被害の大きい日照妨害については建築工事の差し止めや損害賠償の請求が認められることがあります。

建築基準法では、日照権を保護するため斜線制限と日影規制を定めています。

斜線制限は、土地に対し建築物を建てられる空間の範囲を規制するもので、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限があります。

日影規制は、1年のうちで最も日が短い冬至の日の午前8時から午後4時までを基準に、用途地域別に建物によりできる影の大きさを規制するものです。

因みに、大阪市内の日影規制の概要は下記のとおりです。https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/cmsfiles/contents/0000021/21710/tebiki_P11.pdf#:~:text

当事務所で相談を受けるケースは、建築基準法の規制を守って建築確認を取った建築物により、日当たりが悪くなったというケースがほとんどです。

建築基準法は、建築に際し最低限守るべき基準を定めたものであり、これをクリアしているからと言って全て建築が適法というわけではありません。

日照被害などの近隣紛争では、裁判所はしばしば「受任限度」という考え方を基準に適法かどうかを判断します。

日照の被害が社会生活上我慢すべき受忍限度を超えている場合、役所の建築確認があっても建築が違法になることがあります。

受忍限度を超えているかどうかの判断には、冬至日に被害建物の主な開口部がどのくらいの時間日影になるかという被害の程度が最も大きく考慮されます。

その他に、どちらが先に住んでいたか、その地域が例えば住居地域か商業地域などどのような環境か、加害建物の位置をずらすなど加害を避けることが可能か、加害建物が

公共性のある建物か、加害者側が建築にあたり誠意をもって対応したかなどの事情も考慮されます。高層工事の計画後に被害者が引っ越してきた場合などは、請求が認められにくくなります。