髙橋修法律事務所

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会社法務Q&A

詐害的な会社分割時の債権者保護

2018.02.12

これまで経営危機に陥った会社が新会社を設立し、そこに利益の出る事業を譲渡し、会社の債務は新会社に引き継がずに旧会社だけが負担し、旧会社をその後破産させるなどの方法で債権者を害する会社分割が行われることがありました。

平成26年の会社法改正により、新会社(又は既存会社で事業の譲渡を受ける会社)が債務を承継せず、債権者を害することを知って会社分割がなされた場合、残存債権者は事業承継会社に対し、承継した財産の価額を限度として、債務の履行を請求できるようになりました。
但し、残存債権者は、このような会社分割が行われたことを知ったときから2年以内に請求や請求の予告をしないと、この権利行使ができなくなります(会社法759条、761条、764条、766条)。

残存債権者を害することを知っていることが要求される会社というのは、新設会社へ事業を承継する場合は分割会社(旧会社)だけですが、既存の会社に事業を承継する場合は分割会社と事業承継会社の双方になります(同759条)。

また、分割会社が破産、民事再生手続、会社更生手続の開始決定を受けたときは、債権者を害する行為に対しては否認権の行使など、管財人等が対応することになるため、残存債権者が今回の改正で認められた権利を行使することはできません(会社法759条、破産法44条、民事再生法40条の2等)。

このように、残存債権者を害する会社分割について、会社分割自体を取り消すのではなく、事業承継会社に対し承継した財産の価額を限度として債務の履行を請求できるということになりました。

そこで、「承継した財産の価額」というのがどのような範囲なのかが今後問題となります。
この点については、法改正の際に承継会社等が分割会社から財産だけでなく債務も承継した場合、財産の価額から債務の価額を差し引いた残額ではなく、財産自体の価額であると説明されています。

なお、会社分割と同じ効果をもたらす事業譲渡の場合にも、債権者を害する事業譲渡に対応するため、今回の会社法改正で会社分割と同様の規定が新設されました(会社法23条の2)。