髙橋修法律事務所

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会社法務Q&A

司法取引の導入と企業の対応

2018.06.02

他人の犯罪を明らかにすれば見返りに罪が軽くなる日本版「司法取引」が6月1日から導入されました。

司法取引の対象になる犯罪には、詐欺や恐喝、薬物・銃器犯罪のほか、贈収賄や脱税、カルテル、談合、粉飾決算、インサイダー取引など幅広い経済犯罪も含まれますので、司法取引の制度がどのように運用されるのか、企業の関心は高いようです。

司法取引には、自分の罪を認める代わりに有利な取り扱いを受ける「自己負罪型」と、他人の事件の捜査や公判に協力して見返りを得る「捜査公判協力型」があります。両方を認めるアメリカなどと違って、日本で認められたのは後者だけです。

組織犯罪では上層部の指示や命令を立証するには下の立場にいる関係者の証言が不可欠で、起訴の見送りや減刑と引き換えに、上層部の関与について実行した関係者から供述を引き出すといったケースが予想されます。

ただ、司法取引は、自分の利益を図るため虚偽の供述をして無実の人を巻き込むおそれがあるという指摘が根強くあり、安易に利用しすると、取引なしでは証言が得にくくなるといった悪影響も心配されます。

検察庁では、容疑者が司法取引を申し入れた場合、その場では応じないで弁護人を通すよう伝え、取引に向けた協議に入る際は必ず書面を作成するなど、容疑者との間で誤解が生じないようにするための手続きも細かく定めているようです。

談合などの複数の企業が絡む経済犯罪では、今後は他社に先んじて司法取引をすることにより、会社の従業員を守らなければならないケースも出てくると思います。そのような場合、企業は違法行為を把握したら迅速に事実関係を調査したうえ、司法取引すべきかどうか慎重に判断する必要があります。