髙橋修法律事務所

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相続Q&A

相続に関する民法改正案の提出

2018.01.29

民法の相続分野の見直しをする民法改正案が成立し、平成31年7月12日までに施行されます。相続に関する民法改正は1980年以来で、社会の高齢化が進み、残された配偶者が生活に困窮するのを防ぐ仕組みづくりが必要なことから改正されました。

1 民法では、遺産分割について遺言がなく配偶者と子どもで分ける場合、配偶者が2分の1を相続し残り2分の1を子どもの人数で分けると定めています。
改正案では、遺産分割の選択肢として、配偶者はそれまでの住居に住み続けられる「配偶者居住権」を新設しています。

住居の所有権を長男など配偶者以外の者が持っても、配偶者は居住権が得られます。特に期間を決めなければ、配偶者は死亡するまで住むことが出来ます。
現行制度でも配偶者は遺産分割で所有権を得ればそのまま住み続けられます。しかし、所有権を取得すると、その分預貯金などその他の財産の取り分が少なくなり生活が苦しくなる可能性があります。所有権ではなく居住権の場合、売却する権利がない分、評価額は小さくなり、預貯金などの財産が多く受け取れるようになります。
例えば、遺産の内訳が評価額2千万円の住居と、その他の財産3千万円の総額5千万円とします。現行制度では配偶者が住居に住み続ける場合、住居の評価額が2千万円なので、その他の財産の取り分は500万円になります。居住権の場合は評価額が1千万円でも、その他の財産は1500万円得られます。

2 婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、配偶者に住居を生前贈与するか遺言で贈与の意思を示せば、特別受益の持ち戻しの免除があったと推定され、その住居は遺産分割の対象から外れることになります。現預金や不動産などの財産を相続人で分ける際に、配偶者の取り分は実質的に増えることになります。これまでは住居以外の財産が少なければ、配偶者が遺産分割のために住居の売却を迫られることもありました。

ただ、持ち戻しの免除はあくまで推定ですので、何らかの反証で覆されることがありますので、遺言や手紙で持ち戻しの免除の意思表示をしておいた方がいいでしょう。

遺産分割が終了するまで、それまでの住居に無償で住める「短期居住権」も新たに設けられます。夫や妻が亡くなったときに、配偶者が急に住まいを失うことを避けるためです。

3 遺言をめぐるトラブルを防ぐ仕組みも導入されます。
生前に被相続人が自分で書く自筆証書遺言は、自宅で保管するか金融機関や弁護士に預けていますが、所在が分からなくなるなどの心配がありました。しかし、平成32年7月までに、本人が自筆証書を法務局に持参すると、日付や署名、押印といった要件をチェックしたうえで保管してもらえます。これを全国の法務局で保管できるようにして、相続人が遺言があるかどうかを簡単に調べられるようにします。
法務局に預けた場合、家庭裁判所で相続人が立ち会って内容確認する「検認」の手続きは不要になります。

また平成31年1月13日からは、具体的な不動産や預貯金などを記載する財産目録の部分はパソコン書きや代筆が認められます。自筆でない場合は目録の全ページに署名と押印をしなければなりませんが、遺言全体を自筆で作成するのに比べて労力はかかりません。

遺言には公正証書遺言もあり、この遺言は公証人が形式の不備などがないように作成して、公証役場で保管するため改ざんや紛失が避けられます。ただ作成に証人2人以上が必要であるなど手間や費用がかかります。自筆証書遺言は1人で手軽に作成できる利点があります。

4 このほかに被相続人の親族で相続の対象にならない人でも、介護や看病で被相続人の財産の維持などに貢献した場合は、相続人に金銭を請求できる仕組みも盛り込んでいます。