髙橋修法律事務所

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会社法務Q&A

新型コロナによるパートの解雇はどこまで許されるか

2020.03.30

新型コロナウィルスの感染拡大により、売り上げの激減など企業に与える影響が急速に広がっています。

業績が急速に悪化した企業が従業員を削減しようとする場合、真っ先に標的にするのはパートや契約社員、派遣社員などの非正規社員です。

企業がパートなど非正規社員との契約を終了させる方法としては、契約満了時に更新を拒否する「雇い止め」と、契約途中で解雇する「期間中解雇」があります。
「雇い止め」ですが、2012年に労働契約法に加わった19条2項(更新の期待権)の定めや最高裁の判例により、更新回数が多いなどの理由で有期労働者がもつ「更新期待権」に合理性がある場合、雇い止めにそれ以上の合理性がないと雇い止めは無効となります。

この「更新期待権」に合理性があるかどうかの判断は、例えば上司が「長く勤務してほしい」と言っていた場合とか、更新手続きが形骸化していたりすると認められやすくなります。また従業員の業務が一時的なものか継続的なものかも重要な判断材料となります。

もし、「更新期待権」の合理性が認められるとして、次に雇い止めにそれ以上の合理性があるかどうかが問題となります。
ウイルス感染を理由とする雇い止めの合理性判断では、使用者が「整理解雇」の要件を満たす必要があります。(1)解雇の必要性(2)解雇回避の努力(3)解雇者の人選の妥当性(4)労働組合などとの十分な協議です。これらの要件を満たせば雇い止めは有効となります。

ウイルス感染による企業活動のマヒ状態は(1)の解雇の必要性は認められると思われます。しかし、(2)の解雇回避の努力義務は通常の場合は事前の希望退職募集などが必要になり、今回は厚生労働省が雇用調整助成金(一時的に休業や教育訓練、出向などを行い、労働者の雇用の維持を図る事業主に、労働者の失業の予防や雇用の安定を図ることを目的とした助成金のこと)の支給要件を緩めるなど各種の支援策があり、企業がこのような支援策を使っていないと、努力義務を果たしたことにならない可能性があります。

次に「期間中解雇」ですが、労働契約法17条の「やむを得ない事由」がなければ解雇できません。
ウイルス感染による企業活動のマヒ状態は「やむを得ない理由」にあたると思われますが、実際に解雇が認められるには「雇い止め」よりもっと厳しい要件が課せられます。

世界中で感染が広がっていますが、企業は労働者保護の法制を考えたうえ、慎重に人員削減策を講じる必要があります。