髙橋修法律事務所

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パワハラと秘密録音

2019.05.11

パワハラの相談をよく受けますが、セクハラと同じように被害を受けたことを立証することの難しさがあります。

しかし、最近はスマホが普及し、パワハラする上司の罵声を秘密録音することが容易になり、立証する有力な武器となっています。

それに対し、企業は秘密録音に否定的で、就業規則で秘密録音することを禁止している会社さえあります。

銀行が秘密録音を解雇理由の一つとして従業員を解雇して争われた事件で、平成29年に東京高裁は、「秘密録音は銀行の行動規範に反するが、事情をふまえれば解雇理由とまでは言えない」という判断を指示し、解雇を無効としました。このように、秘密録音の目的が不当解雇やパワハラの証明に限られる場合、それを理由に従業員を解雇することは裁判所ではほとんど認められません。

パワハラはセクハラと違って職務上の指導との境界が問題となります。①職務上の優越関係を背景に、②業務上必要かつ相当な範囲を超えている、③就業環境を害する言動が、パワハラとされています。発言内容や回数、その場の状況、背景など様々な事情を総合判断してパワハラかどうか判断されることになります。

秘密録音することで、発言が具体的にわかれば、パワハラかどうかより判断しやすくなります。録音が著しく反社会的な方法によるものでない限り証拠として有効であり、秘密録音はパワハラへの有効な対抗手段であることは確かです。