髙橋修法律事務所

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ゴーン会長の逮捕と日本版司法取引

2018.11.21

日産自動車のカルロス・ゴーン会長の逮捕には驚きました。

日産の業績をV字回復させたカリスマ経営者が突然地に落ちたのは、40年余り前の田中角栄元首相の逮捕を彷彿させる衝撃的な事件です。

有価証券報告書に役員報酬を偽ったという被疑事実ですが、監査役を含む会社役員は毎年その内容を分かっていたはずです。事実なら毎年それを見過ごしていたわけで、ゴーン会長の不正を黙認していたことになります。会社役員の責任は重く、日産や会社の経営陣は決して被害者ではありません。

報道では、東京地検特捜部は捜査の段階で有価証券報告書の虚偽記載に関与した役員らと司法取引で合意し、情報を得る見返りに役員らの刑事処分を問わないなどしたということです。

田中元首相の時は、特捜部は贈賄側のロッキードの副社長に「不起訴宣明」なる刑事免責を約束し、最高裁がそれを保証するという、法律にない法治国家としておかしなことをしてまで重要な証言を引き出し、逮捕につなげました。後に当の最高裁はその嘱託証言の証拠能力を否定しました。

日本でも司法取引の制度は今年6月から運用が開始されました。検察は強い法律の武器を手にしたことになりますが、慎重かつ有効にこの武器を使わないと、司法の公正さを損ねたり冤罪を生むなど大きなリスクを負うことになります。