根保証の改正

1.改正の背景
 中小企業が金融機関から融資を受ける場合、必ずと言っていいほど個人保証を求められます。保証人には代表者や家族がなることが多く、代表者の友人などが保証人になるケースもあります。しかし、保証人は責任の内容について明確な認識がないまま軽い気持ちで保証人となり、後日になって過大な責任を追求されがちです。特に銀行取引などの継続的な取引関係から生じ、将来にわたり増減変動する不特定の債務を保証する根保証については、これまで保証人が債務者の借り入れをいくらでも保証したり、無期限で保証する包括根保証契約も有効であったため、保証人に過大な責任を負わせる弊害が指摘されていました。そこで、保証人が負担する責任を予測可能な範囲に限定するなど保証人を保護する観点から、個人保証について包括根保証を禁止し、保証の限度額や保証期間を定めることなどを内容とする民法改正が平成17年4月1日から施行されました。

○ 改正のポイント
1 保証契約は書面でしなければ無効
     改正前       口頭でも成立 
     改正後       口頭での約束は無効。書面での契約が必要
2 根保証人契約には極度額の定めが必要
     改正前       極度額の定めがなくても有効
     改正後       極度額を定めないと契約が無効
3 根保証人が保証する債務は一定の期間内に発生したものに限られる
     改正前       保証人が無期限で保証する契約も有効  
     改正後       契約で定められた5年以内の期間の期間(定めがな
                 いときは3年間)に発生した債務のみを保証

2.改正の主な内容
① 保証契約の要式行為化
  保証契約は従来「諾成契約」とされ、書面による必要はなく口頭でも成立するとされていました。しかし、今回の改正により、「保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない」と定め、すべての保証契約は書面により締結しなければならないとされました。保証契約を明確にして、その明らかなものだけ法的拘束力を認めるというものです。なお、書面には、一般的な書面のほかに「電磁的記録」も含まれます。この保証契約の要式行為化は、保証人が個人であると法人であるとを問わず、また特定の債務のみを保証する特定保証であると根保証であるとを問いません。

② 根保証の極度額の定め
今回の民法改正では、個人の根保証人が貸金等根保証契約の締結をする場合、「極度額を定めなければ、その効力を生じない」と定められ、極度額を定めない根保証契約は無効となります。
  貸金等根保証契約というのは、根保証契約であって、主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務が含まれるものをいいます。このような契約を締結する保証人は、主たる債務の元本、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負いますが、個人が保証人となる場合に限り、極度額を定めなければ、その契約は無効となります。このように極度額を定めない根保証契約を無効とする趣旨は、保証人が過大な保証責任を負わないようにすることにあります。従って、極度額は、債務者が融資を受けるのに必要と思われる金額や、保証人の資産額などを参考にして、保証人が責任を負担すべき合理的な金額について金融機関と話し合いにより決めることになります。

③ 元本確定期日の定め
  元本確定期日とは、その日以後新たな借入があっても保証の対象とならなくなる日のことです。元本確定日が到来すれば、保証責任がなくなるというわけでなく、保証人はそれまでの期間内に発生した借入が全て返済されるまでは保証の責任を負うことになります。 今回の改正により、貸金等根保証契約で元本確定期日を定める場合は、保証契約締結の日から5年以内の日としなければなりません。元本確定期日が、根保証契約締結の日から5年を経過する日より後の日と定められているときは、その元本確定期日の定めは無効となります。

④ 元本確定期日の変更
  元本確定期日を変更する場合、変更後の元本確定期日が、変更日から5年を経過する日より後の日となるときは、その元本確定期日の変更は効力を生じません。

例  平成17年12月1日 貸金等根保証契約を締結
           元本確定期日 平成19年12月1日
    平成18年12月1日 元本確定期日を平成25年12月1日に変更する契約
    変更契約は無効で、元本確定期日は平成19年12月1日のまま。

⑤ 元本確定期日の定めがない場合
  合意による元本確定期日の定めがない場合には、元本確定期日は、貸金等根保証契約の締結の日から3年を経過する日となります。上記③のように契約日から5年を超える日を元本確定期日と定めて元本確定期日の定めが無効になる場合も同じです。

⑥ 元本確定事由
  次の事由が発生すると、合意による元本確定期日が到来しなくても元本は確定します。
(イ)債権者が、主たる債務者又は保証人の財産について、金銭の支払を目
    的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
    ただし、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
(ロ)主たる債務者又は保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
(ハ)主たる債務者又は保証人が死亡したとき。

⑦ 法人根保証
  保証会社が、金融機関の取引先の借入れについて根保証契約し、取引先の社長などの個人が保証会社に対して、保証会社が将来取得する求償権について保証する場合があります。このように、貸金等債務に対して根保証契約をしている保証人が法人で、将来的に代位弁済により求償権を取得し、それについて個人が求償権の保証をする場合、保証する個人は負担する責任が予測困難な状況におかれることから、法人の根保証契約に極度額や元本確定期日の定めがないときなどには、求償権についての個人の保証契約は無効とされます。

⑧ 既存の根保証契約の経過措置
  改正法は施行前に締結された貸金等根保証契約には適用されません。従って、極度額を定めない既存の根保証契約も無効とはなりません。ただし、既存の根保証契約が元本確定期日の定めがない場合は、極度額の定めの有無に関係なく改正法の施行日から起算して3年を経過する日(平成20年3月31日)に自動的に元本が確定するという経過措置が設けられています。また、極度額の定めがなく、元本確定期日が例えば平成22年4月1日など改正法施行日から起算して3年を経過する日より後の日に定められている場合は、施行日から起算して3年を経過する日(平成20年3月31日)が元本確定期日になります。改正法の施行前に締結された貸金等根保証契約の保証人は、元本が確定した後の融資については保証債務を負わないことになります。

3.改正の影響
 保証の極度額を定めることにより、今後事業資金が必要となったときでも、金融機関から極度額以上の融資を受けられないのでないか心配される経営者もいると思います。しかし、保証の極度額は債務者が融資を受ける最大の金額というわけでありません。保証の極度額をこえる資金の融資を受ける必要がある場合、保証のない融資を行うか、保証の極度額を拡大する変更契約をするかどうかなどを金融機関と協議する必要があります。
  また、上記の経過措置により改正法施行の3年経過後に多くの既存の根保証契約の元本が確定して特定債務の保証に変わるため、施行後3年間のうちに新しい保証契約を締結し直したり、元本を確定させたりする手続が必要となる場合が多いと思われます
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